ルールエンジンとは
ビジネスにおける意思決定を支援。
変わり続けるビジネス環境にも即応します。
ルールエンジンの概要
ルールエンジンは、業務知識をルールベースとして蓄積することで、高度な意思決定の自動化を実現するシステムです。
人が持つ知識をシステムに組み込むことで、知識の運用と活用をサポートします。
高度な意思決定の自動化!
経理処理 / 入会審査/ 査定 / 料金計算 / 書類不備チェック / マスタチェック / シフト管理 / 運転計画 / 生産管理
また、ルールエンジンの導入は、ビジネスフローとビジネスルールの分離をもたらします。
一般的なシステムはビジネスフローとビジネスルールが混在しがちですが、ルールエンジンはビジネスルールを一元管理することができるので、ビジネスルールの変更に素早く対応できます。
一般的なシステム
ビジネスフローとビジネスルールが混在している
ルールエンジン
ビジネスルールを分離して一元管理できるので変更にも素早く対応可能!
ルールエンジンの特徴
1.業務知識の組織資産化
ルールエンジンの利用は、属人化を防ぎ、業務知識の可視化と組織資産化を実現します。
業務知識の組織資産化により、事業の継続と発展を確実なものとし、お客様の企業価値を向上させます。
2.ビジネススピードの加速化
業務知識を、普段業務で使っている言葉を使い、表形式に可視化して管理することにより、ユーザー部門における理解が深まります。
また、メンテナンス性に優れているため、業務知識の頻繁な変更に対応可能なシステムを構築できます。
① 業務知識の管理
(例)映画の割引テーブル
- 普段利用する業界用語で記載
- デシジョンテーブルに一元管理
② 効 果
ビジネスルールを分離して一元管理できるので変更にも素早く対応可能!
経営者
知識の資産化により業務ルール 改訂に迅速に対応
ユーザー部門
要件定義に参画可能による 開発の手戻り抑止
システム部門
業務知識の一元管理により頻繁 なシステム変更に迅速な対応が可能
3.業務品質の改善
ルールエンジンにより、業務知識をそのままシステムに活用できるため、業務知識をあらゆる場面で再利用し、業務品質を改善できます。例えば、業務知識の欠如による誤りの発生などの、手戻りコストを削減することができます。
ルールエンジンの適用分野
最も典型的な適用分野は、ビジネスにおける「高度な意思決定・判断基準を担う領域」です。
例えば、金融業界においては、ルールエンジンを用いて保険加入審査、新商品の開発における不整合チェックを行っています。
また、何千万件の顧客情報と料金プランの管理が必要な情報通信サービスでも、ルールエンジンの適用で業務要件の変更に強い体制が構築されているなど多業種で活用されています。
弊社ルールエンジン「NaU DSP」では、より「高度な意思決定・判断基準を担う領域」に適用することが行えます。
AIにおけるルールエンジンの位置づけ
AIブームにおけるルールエンジン
近年のAIブームは、第3次AIブームと呼ばれており、機械学習やディープラーニングの手法が注目されています。
ルールエンジンは、それらと同等のAIにおける一手法であり、第2次AIブームにおける主役でした。
第3次AIブームでは、ルールエンジンは「推論型AI」や「協調型AI」と呼ばれ、その役割と利点が再評価されています。
ルールエンジン
人間の知識を人力で抽出し、ルールベースに可視化された形式で格納します。
蓄積された知識はシステムにおいてそのまま活用されるため、システムから得られた結論の出典は明瞭に説明できます。
知識の活用は、新たな知見の発見につながります。仮説を立てることで、知識を増やすこともできます。発見等により増えた知見もルールベースに追加できます。知見の増加により、業務知識の改善ができます。また、知識は得られた領域だけでなくその他の領域においても、再利用できます。しかし、人間の知識に依存するため、人間が明確な知識を持たない場合や抽象的な知識しか存在しない場合に、適用が困難なことがあります。
機械学習型AI
大量の事象(ログ)から規則性を見出すことで、人間の知識に依存せずに知識を得ます。このため、人間が明確にできないような曖昧な知識をもシステムに取り込めます。ただし、得られた知識は可視化されないため、得られた結論に対する明瞭な説明が困難です。ログから知識を自動的に抽出するため、学習対象とするログの変更により状況に応じた結論が得られます。しかし、ログの整備が必要であり、また、人間が持つ知見を活かすことが困難なため、知識の再利用が困難です。
ルールエンジンと機械学習型AIの優位点・考慮点
ルールエンジンと機械学習型AIには、下表のように異なる優位点、考慮点があります。
ルールエンジン
- 判断結果について理由を説明可能
- 業務知識の追加
- 変更が可能
- 判断基準の組織的な共通認識が必要
- 妥当な知識を得るためには十分な業務分析が必要
機械学習型AI
- 業務上の知識
- 経験をまとめる必要がない
- 人にない視点で結論を導き出せる
- 学習するために大量のデータが必要
- 前提が変化した場合、再学習データが必要
- 判断結果について理由を説明不可
協調型AI
現在、機械学習型AIの研究開発は米国・中国が先行しています。両国は大規模データを学習できる利点を持っています。しかし、不特定のユーザーから収集された大規模データは特定の専門分野への適用は難しい側面があります。
日本では大規模データの収集については両国に比べると困難ですが、先進的な技術を持った製造業などの競争力のある業界に特化した良質なデータの収集できる現場を持っています。また、これらのデータをいかす熟練者を多く抱えています。先進的な分野では、結果について信頼性が求められるため根拠を説明可能でなければなりません。今後、日本では熟練者の裏付けがある実社会での運用に耐えうる人間と協調できる実社会型/人間協調型AIが求められます。
<日本型AIの目指すべき方向>
「日本が取り組むべき今後のAI基盤記述の方向」 産業技術総合研究所
米国・中国型AI(AI3.0)
(ネット型AI)
データ・知識
- ネットで収集した大規模データにより学習
- クラウドソーシング(大衆)による正解データの構築
信頼性
- ネットサービスとして、β版で発表、徐々に精度アップ
開発工程
- 大量のAI人材活用による自社大規模ビジネス
日本型AI(AI4.0)
(実社会型/人間協調型AI)
データ・知識
- 現場にある良質なデータを活用
- 現場の熟練者等の専門的知識を活用
信頼性
- 実世界適用にあたり、事前に信頼性の評価・確認
開発工程
- ユーザーベースによる個別開発、改善
AI4.0の必要性
人間と協調できるAI(データ・知識融合等)
実世界で信頼できるAI(説明できるAI等)
容易に構築できるAI(AI工学の確立等)
このため、実社会型/人間協調型AIは、人の知識をルールエンジンと機械学習型AIを適切な使い分け、場合に応じた同時活用が必要です。
<機械学習とルールエンジンの活用モデル>
対象領域の特性による協調モデル
機械学習の獲得知識に対する高度な推論を生かした知識活用
人間の知識を利用した機械学習の結果監査
RPAにおけるルールエンジンの役割
RPAとルールエンジンの関係
RPA(Robotic Process Automation)は、ルールエンジンやワークフローエンジンを使用しながら業務処理の自動化を実現するツールです。RPAにおいて、ルールエンジンは、業務に出現する意思決定の自動化に貢献します。
ルールエンジンの果たす役割
現在のRPAは、3段階における自動化のクラス1にあたる、定型業務の自動化を目指しています。クラス2にあたる一部非定型作業の自動化や、クラス3にあたる高度な自律化は、高度な意思決定を伴う業務の自動化が対象です。
クラス1のRPAは、意思決定に関わらない範囲の業務を対象としているため、ルールエンジンを使用しないか、搭載していても低機能ルールエンジンです。今後、RPAがクラス2,3を目指して高度化するとされており、RPAにおいては高機能ルールエンジンが重要な役割を果たすようになります。
「低機能ルールエンジン」による単純条件分岐
Robotic Process Automation
- 情報取得や入力作業、検証作業などの定型的な作業
「高機能ルールエンジン」による知識ベースの活用および意思決定自動化の必要性
Enhanced Process Automation
一部非定型業務の自動化
- RPAとAIの技術を用いることにより非定型作業の自動化自然言語解析、画像解析、音声解析、マシーンラーニングの技術の搭載
- 非構造化データの読み取りや、知識ベースの活用も可能
クラス3 CA
Cognitive Automation
高度な自律化
- プロセスの分析や改善、意思決定までを自ら自動化するとともに、意思決定
- ディープラーニングや自然 言語処理
RPAの課題
RPA(クラス1 )は急速に普及してきましたが、一方で「導入後の課題」も浮き彫りになってきました。複雑な業務においては業務フロー・手続きを変更できる人が限られ属人化し、統制の取れないロボットが問題になっています。
属人化の原因は3つあげられます。
①業務フロー全体が管理されていない
- RPAツールの適用範囲は個別業務単位にとどまっている。
- RPAツールの実行結果を基に次の業務を決めるなどの業務フロー全体の自動化は実現できていない。
- 人の介在や個別のプログラム開発が必要になる。
②RPAにおける手続きの再利用性が低い
- RPAツールが提供するエディタや記述言語を用いて自動化の手続きを人手で定義しており時間を要している。
- 類似業務においても個別に定義が必要な為、定義が煩雑化し、管理が困難となっている。
③体系的に業務知識を扱う仕組みがない
- RPAツールに直接的に業務知識を記述するとブラックボックス化を招き、業務知識の保守が困難になる。
- 業務環境の変化に追随できず、行基的な業務効率の改善効果が低下してしまう。
RPAにおけるルールエンジンの活用
知識ベース(ルールベース)をRPAに組み合わせることで、業務フロー、手続き、判断のどの観点においても管理が行えるようになります。
RPAへのルールエンジン活用による効果
RPAにルールエンジンする効果は以下のように3つがあり、RPAへのルールエンジンの活用は業務効率化にとどまらず業務改革が可能にします。
①RPA適用業務間の業務フローを知識ベースで管理
- RPA適用業務の実行結果を業務知識により判断することで、後続のRPA適用業務を決定することができ、業務フロー全体の高度な自動化が可能になる。
②ルールに基づきRPAの手続きを自動生成
- 人手による定義ミス、定義作業の省力化が可能になる。特に類似性のある作業の定義においては高い効率化ができる。
③業務知識をルールエンジンで管理
- 高度な意思決定の自動化が可能になる。知識の属人化も解消し、ロボットの再利用性を高める 。