ルールエンジンで社会課題解決

入所施設選考業務の自動化

Vol.021 2023年11月21日

保育所の待機児童問題について一度は耳にされたことがあるのではないでしょうか。待機児童問題とは、自治体に保育所への入所申請をしても、保育所側に児童を受け入れるキャパシティがなく、入所できない児童が発生する問題です。児童の保護者が入所先を探すこと(いわゆる「保活」)の負担が大きく、児童が入所できないことで保護者の働き方や家計に影響する深刻な問題になるケースもあります。
待機児童問題といえば保護者側の問題が注目されていますが、一方で保育所を所轄する自治体においても入所申請手続き業務が非常に負担の大きな業務となっています。
そこで弊社は、ルールエンジンによる自治体の入所申請手続き業務の効率化・自動化への取り組みを始めました。自治体の業務担当者を支援することで、業務担当者が児童の保護者や保育所の支援に多くの時間を割けるようにすることを目的としています。

入所申請手続きのながれ

さて、入所申請手続きの一般的な流れは次の通りです。

保護者が自治体に入所申請書を提出します。入所申請書には児童や保護者の収入や生活状況、希望する保育所(第1希望から第20希望まで申請可能な自治体もある)などを記載します。多くの自治体では書類(紙)が用いられますが、電子化(Webフォーム)を図る自治体も増えてきています。
入所申請書を受け取った自治体では、入所申請書の記載内容から児童を保育所に割り当てる際の優先度を決めるために各種指数を算出します。事前に入所申請書の記載内容の不備チェックを行い、不備があれば保護者に確認するなどの作業もあります。
次に優先度が決まった児童を集めて定期的に保育所への割り当て作業を行います。この作業のピークは4月の一斉入所の選考を行う11~12月になるのが一般的です。規模の大きな自治体では、数千人の児童を優先度を考慮しながら希望する保育所の空き人数を確認しながら割り当てていきます。後述しますが、これはかなり大変な作業です。これまでも、この作業にAI等の技術を取り入れる試みがありましたが、極めて少数です。
児童の入所先が決まったら保護者に通知して、同意が得られれば概ね手続き完了です。

ルールエンジンの活用方法

この入所申請手続きのなかで、ルールエンジンは次のような活用方法があります。

入所申請書の提出・受領:
入所申請書の記載不備チェックの自動化(NaU Rulebook DataChecker
指数計算:
指数計算の自動化(NaU Rulebook Classificator
入所選考:
入所希望保育所への児童割り当ての自動化(NaU DSP

括弧内は適用する弊社ルールエンジン製品名

ルールエンジンの活用方法

入所選考の自動化

今回は特に実現が難しい③入所選考の自動化について少し説明しましょう。
この入所選考は、本質的には次のような作業です。

  • 各保育所には児童の年齢毎(0~5歳)に受け入れ可能な人数がある
  • 児童には希望施設(第1~第10以上)がある
  • 優先度の高い児童から順番に希望施設のなかから受け入れ可能なキャパシティのある保育所に割り当てる
入所選考の自動化

と、このように書くと単純ですが、この作業を複雑にする以下の要因があります。

  • きょうだいは、同時に同じ保育所に入所させたい、別々の保育所でも良いので同時に入所させたい、入れる児童から入ってほしい、などの希望がある
  • 同じ優先度の児童(かつ年齢も同じ)が同じ保育所を希望する場合は、人による判断が必要(複数個の優先度の判断基準がある)
  • 在園中の保育所から別の保育所に移動(転園)するケースがある。児童が転園すれば、その児童分の空き人数が増える
  • そもそも、保育所の受け入れ可能人数が不足している

これらの主な複雑化の要因のために、一気に難易度が高くなることが想像できると思います。
これを一般的なプログラムで解決することは非常に困難と言えます。
弊社では、このような入所選考に関わるルールを整理し、ルールエンジンによる自動化を行いました。
具体的な実現方法は、ここでは説明しませんが、このようなルールエンジンの活用に興味を持たれた方は、是非、弊社までお問い合わせください。