- Vol.001 設計用知識プロセッサ『NaU DSP』
- Vol.002 健康管理支援システム 「NaU HCS」
- Vol.003 業務マニュアルのデジタル化のすすめ
- Vol.004 IPA DX白書2021を読み解く
- Vol.005 目指せヤタガラス人材
- Vol.006 大胆な変化を恐れないことが事業継続の要諦
- Vol.007 ソフトウェア工学の古典に学ぶ
- Vol.008 DXに関わるビジネスパーソンに役立つプログラミング的思考
- Vol.009 レガシーシステムのモダナイゼーションを効率的に進める業務ルール抽出方法
- Vol.010 RPAと『NaU Rulebook』の連携がより簡単に
- Vol.011 ルールエンジン適用業務マップ~行政の許認可業務編~
- Vol.012 ルールによる住所チェックの自動化
- Vol.013 作らない技術のための技術
- Vol.014 ~業務マニュアルの考古学~業務自動化を図る際の業務マニュアル分析の視点
- Vol.015 グラフィックファシリテーション~ソフトウェア開発を円滑にするツール~
- Vol.016 書類チェック自動化検討の進め方
- Vol.017 業務知識に基づくデータ突合の自動化 ~NaU Rulebook DataCheckerの裏技~
- Vol.018 『NaU Rulebook 2023』 ChatGPTとの連携により業務自動化が新たな次元へ
- Vol.019 ルールエンジンと大規模言語モデルの連携方式で特許出願
- Vol.020 画像データ自動化の新たな可能性: ChatGPT & ルールエンジン
- Vol.021 ~ルールエンジンで社会課題解決~入所施設選考業務の自動化
- Vol.022 審査業務の自動化は『急がば回れ』
- Vol.023 DX「業務自動化」の着眼点
- Vol.024 OCRと連携するルールエンジン~DXに与えるインパクト~
- Vol.025 ユニークなインターンシップ
書類チェック自動化検討の進め方
Vol.016 2023年6月20日
RPAやAI-OCRの普及が急速に進んでいますが、弊社にも「人手で行っている書類チェックを自動化したい」というお問合せが増えています。そこで書類チェック自動化について良く頂く質問や検討のポイントをまとめました。
書類チェック自動化に必要なソフトウェア
書類チェック自動化に必要な主要なソフトウェアは以下のものがあります。
AI-OCR
紙の書類をスキャンしたイメージファイルから書類の各項目の記載内容をテキストとして読み取るために用います。
RPA
書類をスキャンしたイメージファイルをAI-OCRに引き渡したり、AI-OCRの読取り結果ファイルを後述のルールエンジンに引き渡したり、など各ソフトウェア間の情報連携に用います。小規模業務の場合、RPAを中心に処理プロセスを構築することができます。
イメージワークフロー
複数種類かつ大量の書類を取り扱う大規模業務の場合、イメージワークフロー(BPMS: Bussiness Prossess Management Systemともいう)を用いて処理プロセスを構築するのが一般的です。イメージワークフロー導入時には書類デジタル化を前提に業務フローの最適化、いわゆるBPR: Bussiness Process ReEngineringを同時に行うことで高い業務効率化効果を実現できます。
ルールエンジン
テキスト化された書類データを、業務要件に基づいてチェックするために用います。書類チェックは、項目の必須チェックや形式チェックのような単純なものから、複数書類間を跨ぐような複雑な業務要件に関わるものまで多種多様かつ多数のルールが存在するのが特徴で、ルールエンジン適用の効果が高い領域です。
以下は大規模業務における一般的なシステム構成図です。
書類チェック自動化実現の費用感
書類チェック自動化の費用は、チェック対象となる書類の種類や物量、チェックに関わる業務要件の数や複雑性により決まります。そのため一概に費用感を示すことは難しいのですが、中規模業務で初期費用が数百万~数千万円、年間ランニング費用が数百万円という印象です。また大規模業務の場合は、導入時にBPRも実施するため開発期間も1~1.5年程度と長期化し、初期費用も大きく数億円程度、年間ランニング費用は数千万円程度になることもあります。
書類チェック自動化の投資対効果の考え方
書類チェック自動化の投資対効果は、自動化後に削減される作業工数を導入効果として、初期導入費用と年間ランニング費用を3~5年で回収できるか検討するのが一般的です。定性的な判断材料としては、業務属人化の防止や作業者の教育負担の軽減なども評価材料とすることがあります。弊社の大規模業務における実績では、人手で70分程度かかっていたチェック作業が自動化により20~30分程度(1/3~1/2の作業時間)になりました。業務規模が大きくなるほどチェック自動化の効果が高くなる傾向にあります。
書類チェック自動化の注意事項
書類チェック自動化には幾つか注意点があります。一番重要なものは、AI-OCRの読み取り精度は100%でない、ということがあります。読み取り精度が99%のAI-OCRは、100項目あたり読取りミスが1件程度、という意味です。つまり、100項目ある書類を読み取る場合は1項目程度の読み取りミスが発生することになります。従って、高いデータ品質を求められる業務の場合、AI-OCRの読み取り結果を必ず人が確認して、ミスがあれば人手で訂正するための工程、いわゆるベリファイ工程を組み込む必要があります。しかし、ベリファイ工程は、書類のイメージとAI-OCRの読み取り結果を比較するという単純な作業です。そのため人手で書類チェックを行うときのように担当者が業務要件を理解している必要はありません。その意味で人材の教育負担を大幅に抑えることは可能です。
以上、書類チェック自動化に関して、よくある質問について弊社の経験を記載いたしました。
皆様が書類チェック自動化を検討される際の参考になれば幸いです。また、ここに記載していないより具体的なノウハウもありますので、弊社にお気軽にお尋ねください。